(イラスト=さかがわ成美)

「インボイス制度」の先に待ち構えているのは

たとえば電気代。今、中小の事業者や個人が太陽光パネルなどでつくった電気は、電力会社に再生可能エネルギーとして買い取られています。なんとこの買い取り費用は、「再エネ賦課金」として私たちの支払う電気代に上乗せされているのです。

太陽光パネルを持っている個人や事業者には免税業者が多いので、「インボイス制度」が導入されるとこうした人たちの分も電力会社が消費税を肩代わりすることになります。資源エネルギー庁の試算では、電力会社に約58億円の負担が生じるのだそうです。その分もまた、電気代に上乗せされます。

さらに、「インボイス制度」を導入した先に待ち構えているのは、さらなる消費税率のアップでしょう。ヨーロッパの消費税が高いのは、商品によって税率を変えられるからですが、それは商品ごとに詳細な請求書を書けるインボイス制度のおかげ。どんぶり勘定で管理していた日本では、消費税を10%以上にするのが難しかったのです。でもこれからは、ヨーロッパ式を目指すと思われます。

それでなくとも、ガソリンや電気代、ガス代、通信費の実質値上げなどで、多くのご家庭が苦しむことになりそう。そんななかでの「インボイス制度」の導入。誰のための改革なのかと思うのは、私だけでしょうか。