定年退職後は足腰を鍛えて

その後、子どもが小さい頃は専業主婦だったヒトミさんは再就職し、多忙な日々を送るなかで球場に行くことは減った。

「高津さんのことはずっと気になっていました。ヤクルトのあと、アメリカ・大リーグに行って、またヤクルトに復帰、韓国や台湾でも現役を続けた。その生き方から目を離せない。現役に固執しているという言い方もできるけど、それほど野球が好きなんだと思う。

好きなことがある人は強い。子どもたちにもよくその話はしました。やりたいことがあるなら最後まで貫け、と」

子どもたちはやりたいことを見つけて巣立って行き、ここ8年ほどは夫婦ふたり暮らし。ちょうど高津氏がヤクルトのコーチとして復帰したこともあり、彼女はファンクラブに入会、また球場に行くようになった。

「高津さんが監督になった3年前からは、阪神戦以外はひとりで行っています。現地で友だちになったファンと一緒に、球団公式グッズの《傘》を振りながら大声を出して応援しています。ビールもおいしいし」

定年退職した会社で嘱託として仕事を続けているヒトミさん。足腰を鍛えるためにジムにも通っている。どれもこれも監督を応援し続けるためだ。

「去年は優勝したから毎日浮かれていましたけど、今年は阪神が強いので夫が浮かれていて悔しい……。監督の心情を思うとつらいです。でも勝っても負けても最後まで応援します」

《ルポ》推し活が生き甲斐！
【１】愛らしい姿はいつも心のなかに＜パンダ＞
【２】虚しい人生を変えた役者の色気＜歌舞伎役者＞
【３】定年退職後は足腰を鍛えて＜野球選手＞
【４】終活よりも悔いのない推し活を＜オペラ歌手＞