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エンターテインメントの持つ力

10月2日から放送が開始された109作目の朝ドラ『ブギウギ』。大阪編から東京に移り、スズ子の恋や移籍騒動など、目まぐるしく物語が展開する。物語の「今」は1939年。不穏な時代にスズ子はどう生きて行くのか――。大物歌手・茨田りつ子のモデル淡谷のり子さんに取材経験もある筆者・高堀冬彦氏が、登場人物や今後の展開について綴る

連続テレビ小説『ブギウギ』の放送開始から約1ヵ月半が過ぎた。

作風は悲喜こもごもの人生賛歌。朝ドラの定番だが、歌を始めとするエンターテインメントに軸足を置いているところに特別性がある。

テーマの1つも「歌を始めとするエンターテインメントの持つ力」にほかならない。趣里(33)が演じている主人公・福来スズ子のモデル・笠置シヅ子さんは、戦後に「東京ブギウギ」(1947年)などを歌い、敗戦ムード一色だった世の雰囲気を一変させた。歌の力だった。

この史実は文献によって知られているものの、それを映像でどう再現するのか。

「世の雰囲気」はカメラに映らないから、表すのが難しい。物語上の現在は戦前の1939年春。少し先だが、今から興味を掻き立てられる。