六郎の辿る命運からも目が離せない
六郎の辿る命運からも目が離せない。六郎は気の良い青年であるものの、いかんせん鈍い。徴兵検査で甲種合格したことをスズ子に大喜びで報告してきた。32回である。健康で最も兵役に適していると認定されたわけで、すぐに召集されてしまう可能性が高い。
スズ子とはやはり血縁がないが、それでも「ねえやん」と慕い続けてくれた。スズ子は六郎がかわいくてたまらないだろう。召集されたら、気が気でなくなるに違いない。
趣里以外の出演者で目立つのは、まず草なぎ。高倉健さんが認めた俳優として知られるが、やっぱり、ただ者ではない。東京編が始まった26話から本格的に登場したが、しばらくは小さく抑えた演技をしていた。
ところが、スズ子に日宝への移籍話があると知った32回では「僕は今、福来君がいなくなったら、困るんだ!」と感情を爆発させた。突如、理由なくピアノまで弾いた。まるで急に別人格になったようだった。
しかし、奇異には映らなかった。草なぎの演技が自然だったからである。