東京編になって俄然流れが良くなり、視聴率も上昇

スズ子がUSKからUGDに移り、大阪編から東京編になったのは11月2日放送の26回から。以来、俄然流れが良くなり、視聴率も上昇した。

登場人物が絞られたからだろう。大阪編はスズ子の少女時代(澤井梨丘)を2週使って描いた後、3週にわたってUSK劇団員によるストライキやスズ子の出生の秘密、大和礼子の死が映し出された。構成上、そうする必要があったのだろうが、密度がかなり濃かった。

その分、登場人物も多かった。まず父・花田梅吉(柳葉敏郎)と母・ツヤ、3歳年下の弟・六郎(黒崎煌代)。両親が営む「はな湯」に関係する人たち。幼なじみのタイ子(藤間爽子)。UGDの大和礼子や橘アオイ(翼和希)、秋山美月、リリー白川(清水くるみ)ら。さらに香川に住むスズ子の実母・西野キヌ(中越典子)と実の祖父・治郎丸和一(石倉三郎)と賑やかだった。

一方、東京編の登場人物は歌を始めとするエンタメの関係者が大半。ほかには下宿先の女将・小村チズ(ふせえり)やその夫の吾郎(隈本晃俊)、おでん屋を営む頑固おやじ・伝蔵(坂田聡)くらいだから、制作陣は物語を進めやすいだろう。

今後しばらくは息詰まる展開になりそう。まず母のツヤの体調が気になる。万が一のことがあったら、血のつながりがないぶん、スズ子の悲しみは深いはずだ。ツヤは自分に対し、実子の六郎と分け隔てのない愛を注いでくれたからだ。

スズ子は自分が実子でないことを知っているが、それをツヤに伝えていない。知らないふりをしたままにするのがツヤのためと考えるのか、それとも母娘間の秘密を解消したほうがいいのか。スズ子にとっては悩ましいはずだ。