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住み心地の悪さを「今さら仕方ない」と諦めていませんか? 住宅環境は健康寿命にも大きく影響するといいます。一級建築士の水越美枝子さんが提案する、人生後半を安心・安全に過ごせる家作りとは(構成◎上田恵子 イラスト◎ひしだようこ)

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【施工事例・高齢になっても住み続けられる家】
→介護されやすい家の視点を持つ

●2方向から入れるトイレで介護をラクに

いつか介護が必要な状態になっても、長く住み慣れた家で暮らしたいと願う人は多いもの。これからのリフォームは、体が不自由になったりしても安全かつ快適に過ごせるよう、バリアフリー仕様にする必要があるでしょう。

具体的には、玄関や階段、トイレ、浴室に手すりを設置する。つまずきにくく、車椅子でも移動しやすいよう、小さな段差をなくす。開き戸を引き戸に変更する、などです。

トイレは、車椅子のための2畳ほどの広さがあると理想的と言われていますが、スペースを確保できないことも多いでしょう。その場合は、洗面室側と廊下側の2ヵ所に出入口を設けるリフォームがベスト。

車椅子に乗って方向転換もできますし、介助者も手伝いがしやすい。寝室をトイレに近い部屋に変更するのもおすすめです。トイレまでの移動距離を縮めることで、ヒートショックの危険性も軽減できるでしょう。

 

(イラスト◎ひしだようこ)

 

また、「ソファに座っていると体が沈んで腰が痛くなる」「低いソファから立ち上がるのが一苦労」という声もよく聞かれます。この際、思い切ってソファを処分してしまうのもひとつの手。

立ち座りがしやすい低めのダイニングチェアを置いて、テレビなどもそこで観るのです。今は座り心地のいい、ゆったりしたダイニングチェアがあるので探してみてください。ソファセットを撤去することでリビングが広くなるうえ、車椅子になっても動線が確保できて一石二鳥です。

寝室が2階にある場合、将来的に寝室を1階に変更することもあるでしょう。現在は1階の部屋をリビングとして使っていても、その時が来たら寝室として利用できる仕様にしておけば、安心です。

【事例・夫婦2人の晩年を充実させるリフォーム】
短い動線で家事がスムーズにできるよう、水回りと着替え室、物干し場を近くにした。いずれ2階の寝室を1階に移すことを想定し、リビングの天井にはあらかじめ引き戸のレールを設置している(図を拡大