酒に弱くなった40代
このエッセイでも時折書いているけれど、私はアルコールが大好きだ。20代から何の迷いもなく飲んでいたし、苦手な酒種もない。よって晩酌はルーティーン。最近はスーパーでウイスキーのペットボトルを買って、炭酸水で割って、ハイボールにして飲む。炭酸がシュワっと口の中で広がると「ああ、今日も1日お疲れ様」。そう思いながら、1日の自分を労う。
ただ40代半ばを超えた頃、翌日に酒が残るようになってきた。二日酔いだ。今までも経験はあるけれど、それは致死量を超えた飲み方をしたことが原因だと分かっている。では今回の原因は何か? 答えは加齢だ。体力には争うことができない中年は、二日酔いの回復に2日もかかるようになってしまった。
あくまで私の場合だけど、アルコールと中性脂肪が直結しているらしい。人間ドックを終えるたびに右肩上がりしていく中性脂肪の数値を見て、ため息をつく。加齢によって内臓も衰えて、アルコール成分を分解できなくなっていく……ということなのだろう。このことを20年以上、体を診察してもらっている婦人科のドクターに伝えた。
「(呆れた口調で)小林さん、こんな数値は見たことがないですよ……」
「でも私、甘いものもそんなに食べないし、肉よりも魚派なんですが」
「原因はお酒ですよ」
「(ぐうの音も出ない)」
「以前、毎日飲んでいると言っていましたが、それはダメです。できるなら週に1回ペースにしましょう。でもこの数値を薬で下げるまでは禁酒です」
「毎日飲むと言っても……(超絶濃い目の)ハイボール1杯ですけどね」
「アルコールだけではなく、脂っ濃いものを食べているでしょう。何事も濃いのはダメなんですよ」
「恋愛は濃い方がいいですけどね」
「それとこれは今、話が別です」
禁酒。それはこの世で一番聞きたくない言葉である。頭では酒を止めればスルスルと痩せて、体が軽くなり、おまけに脳もクルクルと回転するようになる。メリットだらけなのだ。
でも対するように酒を飲んだことで得た友情、恋愛、仕事もある。肝機能が正常なうちは、できれば飲み続けて、他人とコミュニケーションを取っていきたいのに。