「かつて超高額マンションと言えば1億円、いわゆる『億ション』でした。ところが今や、3億円を超える住戸は珍しくありません」と語るのは、オラガ総研代表取締役の牧野知弘さん。今回は、マンション価格高騰の背景を牧野さんに解説していただきました。牧野さんいわく、「不動産価格が一方的に上昇する時には、その波に乗ろうと、多くの業者や投資家が群がる」そうで――。
横行する業者買い
先日、メディアの取材で、湾岸部の新築タワーマンションの登記簿を閲覧したのですが、驚愕(きょうがく)しました。高層部東南部分の角部屋(かどべや)がほとんど1列、同じ不動産業者に登記されていたからです。
人気物件だったので、価格が上昇しそうな角部屋1列を一括で買い入れたのでしょう。
購入業者は、名も知れない日本の不動産業者です。
登記簿の乙区事項欄(おつくじこうらん)を見ると、この業者に融資しているのは、香港の投資会社でした。
つまり、外国資本が日本で設立したペーパーカンパニーを通じて日本の高額マンション、しかも値上がりしそうな部分を買い占めたわけです。
このようなことは、デベロッパーにすれば「歓迎」です。
なぜなら、タワマンは数百戸から1000戸を超える住戸を効率よく捌(さば)く必要があり、1社でまとめて買ってもらえれば手間がかからないからです。それによって、「第1期即日完売!」などと銘打ち、販売促進につなげることもできます。