金余りの金融機関

不動産価格が一方的に上昇する時には、その波に乗ろうと、多くの業者や投資家が群がります。

その後押(あとお)しをするのが、金余りの金融機関です。

金融機関にとって、不動産融資は一度に多額の融資ができる、言わば打ち出の小槌(こづち)です。

実は、マンションの高騰を支える大きな要因の1つが、このような業者による転売目的の購入です。

こうした土地転がし、マンション転がしの宴(うたげ)はいつまでも続くものではないことは、バブル崩壊時に証明されているのですが、あの時代のことを記憶する人が60歳を超えるなか、宴は延々と続いています。

※本稿は、『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

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なぜマンションは高騰しているのか』(著:牧野知弘/祥伝社新書)

マンション価格の高騰が止まらない。

かつて「億ション」、すなわち1戸=1億円以上のマンションが騒がれたことが噓のように、今や「2億ション」「3億ション」でないと、不動産業界では超高額マンションと呼ばない。

東京だけではない、大阪でも25億円の物件が登場した。いったい誰が買っているのか? 驚愕の価格の背景には何があるのか? 日本社会はどう変わっていくのか? 業界に精通した著者が読み解いていく。