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元気なうちから自分の最期について考えるのは気が進まない──。そんな人でも抵抗なく始められる7つの準備について、相続・終活コンサルタントの明石久美さんに聞きました(構成=村瀬素子)

遺される人の立場に立って必要なものを洗い出す

「終活」という言葉が世に浸透しブームになったものの、「生前整理やエンディングノートを書くのは面倒くさそう」となかなか重い腰を上げられない人が多いようです。でも、すべてを行わなくても、本当に必要なことだけに絞ればハードルは下がるはず。

コンサルタントとして終活の現場に立ち会ってきた私が、これだけはやっておくべき、と感じた最低限の備えについてお伝えします。

終末期や死後の準備を考えるうえで心がけたいのは、遺される人の立場に立つということ。いざ自分が死んだとき、遺族は葬儀、役所の手続き、財産の相続、遺品の整理など、さまざまなことをすみやかに行わなければなりません。

あなたが何も準備をしていなければ、遺族は亡くなったことを誰に連絡すればいいのか、返却する年金手帳や保険証はどこに? 預金通帳は? といったことがわからず、右往左往。それらを探すのに多大な手間と時間を要します。最悪の場合は手続きができずに財産を受け取れなかったり、相続争いが勃発したりすることもあるでしょう。

もし明日死んでも家族が困らないよう、「何がどこにあるか」わかるようにしておく。これが終活の基本です。

そのためには自分の財産を把握し、ある程度ものを整理する必要があります。死後に必要なものの在処さえわかるようにしておけば、エンディングノートは必須ではありません。

私の母の例を挙げると、通帳など預貯金に関するものはこの引き出し、役所から届く書類はこの箱に、というように大切なものをカテゴリーごとに保管。紙に記しているのは訃報の連絡先や病歴などです。終末期の治療や葬儀に関する要望は口頭で私に伝えています。

日頃から親子のコミュニケーションがとれていれば、エンディングノートの項目を埋めるより、言葉で伝えたほうが意向を汲み取ったり質問したりできるのではないでしょうか。終活に決まりはありません。自分と家族が共有しやすい方法で行えばよいのです。

具体的に何をやっておくべきかは、次ページから解説します。現実に死を迎えるのは何十年も先のことかもしれないので、今から完璧に準備する必要はありません。この先、財産の状況や延命治療などの希望が変わることも考えられます。終活は変化に応じて更新していくものです。

また、子どもに迷惑をかけないようにと一から十まで準備しておくと、それを実現しなければならず、逆に子どもに負担をかけることも。気負わず、自分が必要だと思うことから始めてください。