(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
文化庁の「令和3年度 国語に関する世論調査」によると、言葉の使い方の社会的課題として「場にふさわしい言葉遣い」「中傷的な発言」を挙げた人が多かったそう。そのようななか、「話し方には、<人生>そのものが表れる」と話すのは、TBS初の女性スポーツキャスターとして活躍し、現在は大学教授や企業の社外役員も務める、フリーキャスターの木場弘子さん。そこで今回は、木場さんの著書『次につながる対話力「伝える」のプロがフリーランスで30年間やってきたこと』から、木場さん流・人生が磨かれるコミュニケーション術を一部ご紹介します。

マウントと会話泥棒は嫌われる

Q.対話の場面で、上から目線になりがちな人も多いようです。そうならないよう、どんな点に注意すればいいのでしょうか?

マウンティングという言葉も、今ではすっかりお馴染みになりましたが、これはもともとはお猿さんの世界で、強い立場の個体が相手の背中にのしかかり、「オレのほうがエラい」ということを示すデモンストレーションのことでした。

ところが、同じ霊長類の仲間だから、というわけでもないのでしょうが、ヒト科の中にもこれが大好きで、隙あらばのしかかろうとするヒトがいらっしゃいます。

こうしたヒトは、たとえば――

「夫は取締役になってから家にいないんです」

「このバッグ、**の新作で限定品なんです」

「自宅は鎌倉、別荘は軽井沢なので、住民税が高くって」

などと、自分自身のことより、肩書きや持ち物、住んでいる場所を引き合いに出して、「こっちのほうが上」だとアピールするのがお好きなよう。

まあ、ここまであからさまな会話はドラマの中だけのようにも思いますが、匂わす方はいらっしゃいますよね。

男性の友人によると、こういうタイプに属するヒト科の男性は、パーティーなどで初対面の相手と最初は腹の探り合いをしつつ、いざ名刺に書かれた会社や役職を見たり、出身大学をさりげなく聞き出して、「こちらのほうが上だな」と、ようやく落ち着ける方もいるそうです。

これでは本当に猿山そのものですね(笑)。