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厚生労働省が行った「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、企業に対する調査において、過去3年間でパワハラの相談件数は「変わっていない」という回答が最も多かったそう。様々な嫌がらせがあるなか、心理セラピストの大鶴和江さんは「既読スルー」「ネチネチとした嫌味」といった、遠回しでわかりづらい「ずるい攻撃」をする人の存在も指摘しています。そこで今回は、大鶴さんの著書『既読スルー、被害者ポジション、罪悪感で支配 「ずるい攻撃」をする人たち』から、その心理と対処法を一部ご紹介します。

「隠された悪意と敵意」は巧妙に偽装される

「悪意を持った見えにくい攻撃」はどのように見極めるのか。これは難しいところです。

特に相手に悪意があるという先入観を持たずに接した場合は、安易に相手の優しさや親しみやすさにのまれてしまい、冷静な判断が難しくなってしまう場合が多々あります。

また、「性善説」で人を見ることが多い点にも問題があります。

人間関係は信頼が大事だからといって、その人の言うことすべてが正しいとは限らない。にもかかわらず、ちょっと親切にされただけで相手の言うことを疑いもなく信じ込んでしまう人も多い傾向があります。

「あなたのためを思って忠告しておくね。あの人、あなたの悪口を言っていたのよ」

そう言って親しくしている人と仲違いや孤立をさせて、「私だけがあなたの味方だから。私があなたを守ってあげる」などと言う人もいます。

このような言動によって、猜疑心で孤立しているターゲットを安心させ、支配していきます。

人は不安なときほど視野が狭くなってしまい、「何かにすがりたい」「より強いものに守ってもらいたい」という思いが強くなります。

ずるい攻撃をする人は、その弱みにつけ込んで、「私だけがあなたの味方だから」というスタンスをとります。そんな優しい言葉に騙されて、その人に心底惚れ込んでしまい、冷静な思考判断ができなくなってしまう人もいます。

そうなるともう完全なる支配と依存の共依存関係が出来上がってしまい、他人がどんなに警告してもその関係から抜け出すことは容易ではありません。