日々新しい美容法が生まれ続ける昨今、「今のスキンケアが自分に合っているか分からない…」と思っている人も多いはず。そのようななか、工学博士でありながら化粧品の研究・開発にも携わる、FILTOM研究所長の尾池哲郎さんは「ふだんのスキンケアを科学の視点でとらえかえせば、目からウロコの美容論にたどりつく」と話します。そこで今回は、尾池さんが科学の視点から「美とは何か」を徹底分析した著書『美容の科学:「美しさ」はどのようにつくられるか』より、一部引用、再編集してお届けします。
肌の色とは何か
美容や医学では美白について「メラニン」視点で考えます。
メラニンをいかに打ち消し、あるいは発生しないようにするか。それが美白向け美容商品、医薬品、医療機器の基本的な考え方です。
しかし工学ではもっと基本的なメカニズムから考えることになりますので、「光」「色」にまでさかのぼってみます。
いわゆる光のスペクトル(波長分布)です。
一歩下がって、美白の景色を遠くから俯瞰してみます。
可視光は波長の長い方から「赤(せき)・橙(とう)・黄(おう)・緑(りょく)・青(せい)・紫(し)」の色に分けることができますが、それらすべての色をすべて含むと「白い光」になります。
白いカーテンはほぼすべての色を反射しているから白く見えるのであり、メラニンはほぼすべての色を吸収するため色が反射できず黒っぽく見えます。
赤とは赤以外の光を吸収しているから、赤い光の波長だけが反射して目に届いています。
ちなみに絵の具を全て混ぜると黒っぽくなってしまうのは、すべての波長を吸収してしまうからです。
では、美白における白とはいったいどのような白の事を言っているのでしょうか。
どんな人の肌も何らかの波長が必ず吸収されていますから、すべての波長を含む「真っ白」な白のことを言っているわけではないと思います。
ではどんな色がベースになっているのでしょうか。
肌に入った光は、どんな波長が吸収され、どのように発色しながら目に届いているのでしょうか。