(写真提供:Photo AC)

大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。ドラマの放映をきっかけとして、平安時代にあらためて注目が集まっています。そこで今回「紫式部と藤原宣孝の結婚に秘められていた思惑」について、『謎の平安前期』の著者で日本史学者の榎村寛之さんに解説をしてもらいました。

ついに宣孝と結ばれたまひろだが

ドラマ内で、藤原宣孝(佐々木蔵之介さん)と結ばれたまひろこと紫式部。

まひろが結婚した旨を聞いた道長も、最初は動揺を隠しましたが、宣孝から「夫は私」と聞かされて、さすがに驚く様子を見せていました。

20歳も歳の離れたふたりということで、さぞ紫式部は婚活に焦って宣孝と結婚したのでは…と思ってしまいますが、実際にはどうだったのでしようか。当時の結婚事情を踏まえて、あらためて考えてみましょう。

さすがにドラマのように宣孝が紫式部を越前に訪ねることはなかったでしょうが、史実の藤原宣孝も越前の紫式部に歌を贈っています。

しかし『紫式部集』にある歌からは、それなりに親しい親戚でも、最初はそれほどお互いに想っていなかったという雰囲気があります。ではなぜ二人が結びついたのか?