(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
漫画・ドラマともに大人気の『孤独のグルメ』の原作者として知られ、日本中を飛び回る久住昌之さん。そんな久住さんがどっぷりハマり、足掛け6年以上通っているのが<佐賀県>です。そこで今回は、久住さんの著書『新・佐賀漫遊記』から、久住さん流・佐賀県の楽しみ方を一部抜粋してご紹介します。

有明海を見て、海苔のことを考えた

飛行機で初めて佐賀に来た時、機窓から、空港近くの海の上に、見たことないものを見て目を奪われた。

飛行機の窓から初めて撮った佐賀・海上に広がる長方形はなに?(写真:『新・佐賀漫遊記』より)

海面に、海の色より濃い色の長方形が整然と並んで、どこまでもどこまでも続いている。長方形には黒っぽいのと、もっと薄い色のがある。

空からで周りに比べるものがないので、大きさはわからないが、ひとつ2メートル×8メートルくらいだろうか。いやもっと大きいか。

それらは水面に浮いているのではなく、浅い水面下にあるように見え、そこが不思議だ。

飛行機の高度が下がると、その間を行き来する小さな船が何隻か見えた。

なんだあれ? と眺めながら、しばらく考えて、「あ……ひょっとして、海苔の養殖かな」と思い至った。

有明海苔。眼下の海は、たぶん有明海だ。いやしかし「そんなに? 海苔を?」と思うほどの広大な面積に長方形は広がっていた。

佐賀に着いて、土地の人に聞いてみると、やはりそれは海苔だった。

海苔はそんなに大量に作られているものなのか。いきなり佐賀に驚かされた。