関脇・大の里が爆走止まらず全勝
大相撲秋場所は終盤戦の11日目を終え、関脇・大の里の爆走が止まらず全勝を続けている。大の里は、立ったとたんに、右差しや左おっつけを披露し、股関節と膝を安定させた形のまま高速前進。対戦相手はその圧力により土俵から追い出され、決まり手は寄り切りや押し出しなど。連日、時短相撲だ。
11日目の前頭4枚目・琴勝峰との対戦では物言いがついたが、琴勝峰の足が先に土俵から出ていて軍配通り、大の里の勝ち。2敗で追うのは、関脇・霧島、前頭13枚目・錦木、前頭15枚目・高安の3人。
大の里は、夏場所では小結で12勝をあげて初優勝。名古屋場所は関脇で9勝。大関昇進の目安は直近の場所での合計33勝である。11日目のNHKテレビの正面解説の舞の海さんと実況の小林陽広アナウンサーが「大銀杏が結えない大関」と、声を合わせて言った。大の里は、初土俵からまだ9場所目で髪の伸びるのが間に合わない。このまま勝ち続けて優勝すれば、歴史的なちょん髷の大関誕生となる可能性がある。
千秋楽までに大の里を倒すのは誰か?2大関をあげたいところだが、11日目は二人とも敗れて、琴櫻は7勝4敗、豊昇龍は6勝5敗。勝ちたい気持ちだけが伝わってくる。
10日目は1敗の霧島が大の里を倒すかと期待された。霧島は左に変化したが、大の里は前に落ちずに霧島をつかまえて寄り切り。土俵下には大の里の師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)が審判として座っていた。霧島はその横に仰向けに転落し、大の里は土俵に坐った姿勢で「師匠勝ちました」と報告しているような状態。二所ノ関親方は無表情で霧島をよけていた。
今場所の前に、二所ノ関親方は大の里に稽古をつけたそうで、稀勢の里の実戦パワーが大の里に伝授されたのは確実だ。稀勢の里の師匠は、亡くなった鳴戸親方(元横綱・隆の里)で、「土俵から下は崖と思え」と教えられたから、それも伝わっているのかもしれない。