1990年代半ばから2000年代初頭に就職活動をした「就職氷河期世代」は、2024年時点で30代の終わりから50代前半にあたります。今も多くの問題を抱えており、厚生労働省が様々な支援を続けています。このような状況のなか、労働経済学を専門とする近藤絢子教授は「コロナ禍の経済活動への影響が落ち着いた今、改めて就職氷河期世代に目を向けなおすべき」と語っていて――。そこで今回は、近藤教授の著書『就職氷河期世代-データで読み解く所得・家族形成・格差』から一部引用、再編集してお届けします。
就職先の規模・業種・離職率
東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターによる『働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査』(以下「社研パネル調査」と略記)を用いて就職先の企業規模や業種、就職後3年以内の離職率などの傾向を見ていく。
本調査の対象者は1966〜86年生まれにあたり、バブル世代から氷河期後期世代までがカバーできる。
ただし、就業構造基本調査と比べると、調査の規模が小さいほか、中学卒と大学院卒が少なく専門学校卒と大学卒が多いという分布の偏りがあるため、以下は学歴別の集計のみ掲載する。
なお、男性はもともと短大卒が少なくサンプルサイズが小さくなりすぎるため、短大・高専卒は表から除いている。