国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が2024年に公表した「世界幸福度レポート」によると、フィンランドの幸福度は1位で、首位は今回で7年連続だそう。フィンランド・ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんいわく、「フィンランドの学校には、自分の人生観を育むための知識と教養を得る『人生観の知識の授業』がある」とのこと。そこで今回は、岩竹さんの著書『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』から、一部を抜粋してご紹介します。
学力テストや偏差値はない
フィンランドの学校には、学力テストや偏差値がないことが特長だ。そもそも、日本のような「学力」という概念がない。
学力は、「学習を通じて獲得した知識」「学校の教科の授業を通じて獲得された能力」と説明される。
しかし、フィンランドの教育が目指すのは「学習を通じて獲得した知識」というより、いかに学ぶかを学ぶことであり、その違いは大きい。学力テストなどでは測ることができないことが、重視されているのだ。
学力テストや偏差値は、子どもに競争を課すものだが、競争と学ぶことに本質的な関係はない。
もちろん子ども同士の遊びやスポーツで競争すること、楽しむことはあるだろうが、大人が介入して子どもを競争させるのは好ましくない、とするのがフィンランドの教育の考え方だ。
それは、子どものストレスや攻撃性を増したり、あるいは自分はダメだと感じさせたりするからである。競争や効率、経済性は新自由主義がもたらすものだ。
新自由主義は世界的な潮流であり、フィンランドの教育にも影響を与えている一方、それを嫌う傾向が強い。