塾も受験もない
フィンランドに塾はない。学校が充分な教育を提供するので、必要がない。また、勉強だけではなく遊びや休息、睡眠とのバランスの取れた生活が重視される。
日本のような受験がないことも、塾がない理由だろう。
フィンランドは小中一貫で、高校入学は同じ自治体、または隣接する自治体の希望校に出願する。選考の基準になるのは中学の成績で、基本的に受験はない。
例外は、音楽高校を希望する場合などで、実技などの試験がある。大学入学には試験があり、そのための勉強はするが、日本のような受験勉強はない。
一方、日本では受験のため、あるいは学校教育の不充分さを補うために塾に通う子どもが多い。
学校が終わると夜遅くまで塾で過ごし、学校と塾の二本立てが起きている。それは、公教育の意味と機能を疑わせるものでもある。
また、勉強ばかりの生活になって、遊ぶ時間や睡眠時間、何もしないでいる時間を失ってウェルビーイングに欠ける生活スタイルである。
最近、日本では大学入試が多様化して、推薦や総合型選抜(旧AO入試)が増え、一般試験での大学入学者は5割を切ったという。
その反面、特に東京で中学受験が増えている。つまり、受験の低年齢下が起きていて、小学生が良い私立中学入学を目指して猛勉強している。
受験は産業であり、ビジネスでもある。学ぶことや知ることの喜びとは関係ないことに、親も子も心身を削っているのだ。