高校卒業試験は大人への門出
3月の試験とその結果は必ずニュースで報じられ、話題になる。例えば、ラウダトゥーリを8つ取った生徒がいたなど報じられて、報道からも若い世代への希望や期待があふれ出る。
高校卒業試験は、人生の通過儀礼であり大人への門出とも重なる。高校卒業は18歳頃になるが、18歳は成人となる歳で、保護者の扶養義務が終わる。18歳は地方選挙と国会選挙の選挙権と被選挙権を得る歳で、法的にも大人になる。
それまでに学んだことを糧として、自分で考え、良識ある大人として生きていくことが期待され、祝福されるのだ。
フィンランドの学校や大学に入学式はないが、卒業式はある。
5月の終わりか6月初めが多く、高校の卒業式の後は、親が親類や友人を招待して自宅でパーティを開く。北欧の美しい夏の始まりの時期、心浮き立つイベントだ。
フィンランドでは、必ずしも高校卒業後すぐに大学に入学するわけではない。
高校卒業後、何をするか、大学に入学するとしたら、それはいつ入学する等は、成人後のことになるので親はほとんど関わらない。
そのため高校卒業のパーティは、保護者が子どものために行う最後のイベントになる。大学入学は、それに比べると地味な出来事である。
※本稿は、『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』(著:岩竹美加子/青春出版社)
世界幸福度ランキングで、7年連続1位に輝いたフィンランド。
フィンランドの学校には「良く生きるための授業」がある。
「良い人生って何?」「生きる意味はどこにある?」などの問いに向き合いながら、自分だけの答えを探すフィンランド独自の授業、そしてその教科書から、幸せに生きるヒントを探る。