2018年12月にデビューミニアルバム『八方不美人』をリリースした3人のドラァグクイーンによる異色のユニット「八方不美人」。活動も6年目となり、ドリアン・ロロブリジーダさんは映画やCMに出演、エスムラルダさんは脚本業、ちあきホイみさんはソロのアルバムをリリースするなど、活躍の場を広げている。派手なルックスはもちろんのこと、抜群の歌唱力と迫力満点のパフォーマンスで大人気。高偏差値の大学出身で、昼間は男性の素顔のままで働く。この異色のユニットの魅力とは?コロナ禍前、デビュー直後の座談会を配信します。
(構成=内山靖子 撮影=本社写真部)
(構成=内山靖子 撮影=本社写真部)
小さな子からお年寄りまで
――2018年12月に結成された八方不美人は、Winkの「淋しい熱帯魚」などのヒット曲で知られる作詞家の及川さんが全面プロデュース。このユニークなユニットはいかにして誕生したのか。
エスムラルダ(以下エスム) 結成して約2年、今、こうして3人で活動しているのって、実はわたしたちが一番驚いてるかもね。
ドリアン・ロロブリジーダ(以下ドリアン) そうそう。始まりは、お酒の席の軽いノリだから。
エスム もとはと言えば、普段は文筆業の仕事をしているわたしが『プリシラ』っていうミュージカルの台本を翻訳していたとき、その作品の訳詞を担当なさっていた及川眠子さんと仲良くなって、よく通っている新宿2丁目のお店にお連れしたのね。そこで、たまたま歌っていたドリアンを眠子さんが気に入って、「浮いている曲があるから、あなたに1曲あげるわよ」って。
ちあきホイみ(以下ホイみ) で、その曲を作った中崎英也さんを、後日、眠子さんがそのお店に連れていらっしゃった。
でも、その日、昼間は会社員としてPRの仕事をしていたドリアンさんが残業で遅れて、そのお店の常連だったわたしが前座で歌うことに。そうしたら、その場に同席していたエスムさんも含めて、「3人でユニットを組めばいいじゃない」という話になって。
ドリアン ソロデビューするはずだったのに、遅れたばかりに3人のユニットになっちゃって。(笑)
エスム でも、それがむしろよかったんじゃない? 3人ともまったくタイプが違ったおかげで絶妙なバランスがとれて。歌い方ひとつとっても、ドリアンは声がデカくてパワフル、ホイみは繊細で情感たっぷり……。
ホイみ エスムさんは説得力がありますしね。