厚生労働省が公表した「介護保険事業状況報告(暫定)」によると、令和6年8月末時点の要介護(要支援)認定者数は、718.5万人だったそう。そのようななか、介護事業を運営する株式会社アテンド代表の河北美紀さんは「長期戦の介護を乗り切るには、必要な情報を得ることと、そして事前の備えがとても大切」と話します。そこで今回は、河北さんの著書『介護のプロだけが知っている! 介護でもらえる「お金」と「保障」がすらすらわかるノート』から、「介護破産」を避けるための援助のポイントを実例とともにご紹介します。
娘に財布を握られ病院も行けない老夫婦を救え
夫婦共に要介護認定を受けている老老介護のYさん夫妻
都内在住のYさん夫妻(夫94歳、妻92歳)。子どもは長女次女の二人ですが、それぞれ所帯を持ち今は夫婦二人暮らしです。ご夫婦共に要介護認定を受けており、夫は要支援2、妻は要介護1で認知症があります。
妻は数時間前のことは覚えていない、外出したら帰れない、同じ話を繰り返すなどの症状があり、それを94歳の夫がサポートするといういわゆる「老老介護」の世帯でした。
夫は辛抱強く妻を見守り、近所のデイサービスにも仲良く一緒に通う姿も見られていました。