井上咲楽
(撮影:荻原大志/写真提供:徳間書店)
『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントMCを務めるなど、さまざまなテレビ番組で活躍するタレント・井上咲楽さん。「笑顔で明るくいつも元気」というイメージを持たれることもある井上さんですが、その半生は決して明るいだけではなかったそう。今回は、井上さんが抱えてきた不安や悩み、生きづらさなどについて赤裸々に綴った初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)から、一部を抜粋してお届けします。

現役高校生タレントのキラキラ学園生活?

現役高校生でタレント活動をしていると、キラキラした学生生活を送っているというイメージがあるかもしれない。だけど正直に言って、私はちっともキラめいていなかった。

こじらせた性格が災いしていたのだと思うけど、それはこじらせが悪化するような事件がいくつも起きたせいでもある。

例えば、学園祭。

他校の人たちが「この高校に井上咲楽がいるらしいよ」「あの眉毛がつながっている子?」「テレビで観たことある」といったノリで学校に来るのだ。「一緒に写真撮ってください」と言われ、もちろんうれしい。でも、その日の帰り道。駅のホームにいたら、他校から来てくれた人たちが目の前に並んでいて、話しているのだ。

「せっかく見に来たけど、普通だったな」

さっき写真を一緒に撮って喜んでくれていたのに……と直で人の本音を聞いてショックだった。