懐いてくれた後輩の二面性

他にもある。

高3になってから、めちゃくちゃ親しみを持って接してきてくれる後輩ができた。

『じんせい手帖』(著:井上咲楽/徳間書店)

「井上さん、この間のテレビ観ました! めちゃくちゃ可愛かったです!」

たびたび声をかけてくれた。懐かれる感じが新鮮で、うれしかった。

だけど、ある日いつものようにエゴサーチしていたら、ある投稿に遭遇した。

「うちの高校に井上咲楽っていうやつがいるんだけど、本当にあんな不細工のくせに推しと共演できてマジむかつく」

「でも近づいておけば、いつか推しと井上咲楽が仲良くなった時に、私もつながれるかも」

匿名でやっている裏アカウントで、誰にもバレないと思って好き勝手に書いている感じだった。それがエゴサを日課にしている私の目に入ってしまったのだ。

確証はない。だけど、たぶん、あの子だ。

気づいた時の、体をかきむしりたくなるようなゾワっとした感覚が忘れられない。人間の二面性ってめっちゃ怖い。