2024年9月、阿部慎之助新監督率いる読売ジャイアンツが、4年ぶり39度目のセ・リーグ優勝を果たしました。大混戦となった2024年シーズンでしたが、巨人OBで野球解説者の92歳・広岡達朗さんは「巨人が強くなったのではない。他がだらしないのだ」と厳しく評価しています。そこで今回は、広岡さんの著書『阿部巨人は本当に強いのか 日本球界への遺言』より一部引用、再編集してお届けします。
カード初戦は必ず戸郷・菅野に先発させろ
報道によると阿部監督は開幕前、「菅野(智之)は中7日以上空けてもいい」と語っていた。
その方針通り、前半戦は原則中6日で登板していたのは、菅野の年齢とコンディションに配慮したのだろう。たっぷりと登板間隔をもらい、エース級との投げ合いがないなかで勝ち星を重ねてきたわけだ。
勝率と防御率のいい菅野は7月28日のDeNA戦で3年ぶりに完封勝利を収めて規定投球回(=チーム試合数)に達したが、この勝率も相手投手の顔ぶれとの関係を吟味しなければいけない。
この因果関係と勝敗の本質を、なぜ野球評論家は指摘しないのか。ファンやマスコミと一緒に「勝った勝った!」と評価するだけでは専門家とはいえないだろう。