(写真提供:Photo AC)
厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」によると、2023年の離婚件数は18万3814組で、前年の17万9099組より4715組増加しました。そのようななか、約4万件のトラブルを解決してきた離婚カウンセラーの岡野あつこさん曰く「近年は<モラハラ>や<価値観の相違>に由来する離婚相談が増えている」とのこと。そこで今回は、岡野さんの著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』より一部を抜粋してお届けします。

「半沢直樹離婚」した「大企業の社長候補」

出会ったときの関係性は、結婚後しばらくたっても尾を引くものです。

そもそもアプローチしたのはどっちだったか、その時点でどちらのほうが経済力があったか、といったバランスというかポジションどりが後々の夫婦関係にも微妙に影響するのです。

学歴以外にも収入の多寡や、仕事の忙しさなどがマウンティングの材料になりがちです。

また、「自分は男だけど家事をがんばっているほうだ」とか、「夫は男だから高い給料をもらえている」などと、ジェンダー要素も絡んでくることがあります。

かつて、こんな相談を受けたことがあります。

相談者は60代の女性。少し年下の50代の夫がいます。

ある日突然、夫が「離婚したい」と言い出したそうです。「寝耳に水」の話だったので、驚いて私のところに駆け込んできました。

男性が急に「離婚したい」と言い出す場合、真っ先に疑うべきは、浮気や愛人の存在です。そのため、この女性とも相談して、探偵に調査を依頼しました。

でも浮気の証拠どころか、女性の影すら見つからず、すぐ打ち切ることになりました。

実際のところ、原因は浮気ではなく、他のところにあったのです。