毎年お正月になると必ず報じられるのは、高齢者が餅を詰まらせることによって起こる窒息事故。数分で命を落とすケースもあるため、予防はもちろん、家族にできる応急手当の方法を知っておきましょう(構成=島田ゆかり イラスト=鈴木亮)
板チョコひとかけらの大きさと覚えて
さっきまで元気だったのに、目の前であっという間に亡くなってしまう。あるいは助かっても脳に障害が残ってしまう。家族にとってもショックが大きいのが誤嚥による窒息事故です。
しかし誤嚥は防ぐことができますので、人生の最期に苦しい思いをしないためにも予防のコツを知っておきましょう。
誤嚥が起こる原因は、加齢によって喉の筋力や神経反射が弱くなり、食べ物が食道に送られず気管に入ってしまうこと。窒息は空気の通り道が塞がる状態で、およそ5分で心停止となります。また、気管に食べ物が入ると誤嚥性肺炎を引き起こし、こちらも命にかかわるリスクが。
まず大切なのは、食べ方の工夫です。食事の際はむせないように喉越しのよさを考えて、とろみをつけたりピューレ状にする。よく噛み、水分を摂りながら食べることで誤嚥を防止できます。
気をつけたい食材は、餅やだんごなど粘り気のあるもの、食べる頻度の高いお米やパン、こんにゃくやタコなど噛みにくい食材、肉や魚でも筋があるようなもの。根菜類などの硬い野菜も要注意です。
また、非日常の場面での食事、たとえば孫の結婚式で出たお肉で窒息してしまうというケースも。食べ慣れない食材も誤嚥リスクがあると心得ましょう。