(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
遺跡や遺構から歴史を研究する<考古学>。日々発掘調査に出かけていると思われがちな考古学者ですが、古代エジプトを専門とする駒澤大学文学部歴史学科の大城道則教授によると、ここ数年は10日連続で時間を取ることができないほど多忙を極めているそうで――。そこで今回は、考古学者の青山和夫さん、角道亮介さんとの共著『考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』から、大城教授のリアルな日常を一部お届けします。

「考古学者」の定義

考古学者にとって研究の場とは、なにも発掘現場を中心とした野外のフィールドだけとは限らない。

日本人の持つ一般的な考古学者のイメージは、太陽が照りつける青空の下で額に汗しながら、その汗を首に掛けたタオルで拭い、出土した土器を竹べらや竹串で丁寧に丹念に根気よく綺麗に掘り出そうとする、健康的に日に焼けた人物というものであろう(インディ・ジョーンズ以外でという意味だが)。それは決して間違ってはいない。

しかし、これは日本人特有のイメージなのかもしれないと思うことがある。海外における「考古学者」の定義に基づけば、感覚が少し違うような気がするのだ。日本以外の国々では、古代のものを研究対象として扱っている研究者すべてに「考古学者=Archaeologist」を当てはめることができるのである。

たとえば世界には発掘経験がまったくない「考古学者」もいれば、衛星画像のデータを解析して、未発見の遺跡を特定するという手法を用いる「考古学者」もいる。後者などは完全に理系の学問分野だ。

広い意味で宇宙考古学とかロボット考古学とかもまた「考古学」の範疇(はんちゅう)なのである。考古学は日々多様化しつつある。必要に応じて文理融合という名の下に。