「ペットボトル温灸」
(イラスト:はしもとゆか)
冬の間、寒さで血流が悪くなり、心身の不調を感じやすくなっていた人もいるでしょう。そんな悩みの改善に効果的なのが、「ペットボトル温灸」。体内の循環をよくしてお悩みを和らげる方法を、鍼灸師が解説します(構成:浦上泰栄 イラスト:はしもとゆか)

ツボを刺激して「気」「血」を補う

東洋医学では、「気」(エネルギー)、「血」(血液)、「水」(リンパ液などの体液)の3つがバランスよく全身を巡っていることで、人は健康な状態を維持できると考えられています。ところが、加齢や不規則な生活、運動不足、ストレスなどの影響で、「気」や「血」は失われやすい状態に。「なんとなく疲れやすい」「食欲がわかない」「気分が落ち込みやすい」といった、いわゆる「未病」と呼ばれる不調を引き起こしてしまうのです。

そこで、エネルギーの通り道である「経絡」の上にあるさまざまなツボ(経穴)を刺激し、「気」「血」を巡らせて体の力を高めようというのが、鍼灸治療の考え方です。

私たち鍼灸師が行うお灸では、全身に点在するツボの上に米粒大のもぐさを置き、それを燃焼させることで皮下に温熱刺激を与え、免疫系の活性化を促します。ツボは全身に361あり、それぞれ脳や内臓などの臓器と関連。刺激が伝わることで、さまざまな症状が改善すると考えられています。

そんなお灸の効果を誰でも手軽に得られるようにと考案したのが、今回ご紹介するペットボトル温灸です。これは、私の子どもが1歳ぐらいの時に風をひき、「どうにか、やけどさせずにお灸を使えないか」と試行錯誤した結果、生まれた方法。火の代わりにお湯が入ったペットボトルを使用するものです。

こういうと、湯たんぽや温熱シートなどと同じ? と思う人がいるかもしれませんね。実は、ペットボトル温灸で使うお湯の温度は70℃もあり、じんわりと体を温める湯たんぽなどと違って、皮下に50~60℃の熱が一気に届きます。急激に高い熱を受けると、皮下の細胞を守ろうと免疫系の活動が活発になるため、さまざまな不調改善効果が得られるのです。さらに、全身の巡りを促して、不調を寄せつけない体づくりを目指すことも期待できます。