(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
漢方薬に対して「飲んでみたが効かなかった」「エビデンスがないしあやしい」というイメージをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。しかし「漢方薬にはエビデンスが数多く存在し、漢方薬の効き方が一定でない背景には、腸内環境の乱れが深く関わっている可能性がある」と指摘するのは、サイエンス漢方処方研究会の理事長で医師の井齋偉矢先生。そこで今回は井齋先生の著書『漢方で腸から体を整える』から一部抜粋・再編集してお届けします。

漢方薬とはどういうクスリなのか

漢方薬について正しい知識を持っていただくために、漢方薬とはどういうクスリなのかという基本的なことからお話ししたいと思います。

漢方薬というのは、自然界に存在する植物・動物・鉱物などを原料とした「生薬」を組み合わせて作られたクスリです。

生薬にはそれぞれ異なる薬効があり、それらを組み合わせることで、さまざまな症状や体質に合わせた治療が可能となります。

西洋医学で一般的に使われている新薬は、基本的に1種類の成分で構成されているのに対し、漢方薬は2種類以上の生薬でできています。18種類の生薬で構成されているものもあります。

しかも、生薬の中にも複数の微量成分が存在することから、一つの漢方薬に含まれる成分は膨大な数に上ります。