(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
今年も大相撲五月場所が盛り上がりを見せています。そんななか、「今の十両や幕下以下を見渡すと、のちの横綱や大関を期待したくなるような若い力士が次から次へと出現しています」と話すのは、NHKで1984年から2022年まで、その後ABEMAで今も実況を担当している元NHKアナウンサー・藤井康生さんです。そこで今回は、藤井さんの著書『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』から一部引用、再編集してお届けします。

番付は必要なの?

現在の「大相撲戦国時代」に、果たして番付が必要なのか、番付の意味や重みがなくなってしまったのではないか、そんな意見も耳にします。

私的な結論から言えば「番付」は必要です。「番付」があるからこそ大相撲を面白く観戦することができ、「番付」を考案したからこそ、長きにわたり観る者を楽しませることができたのだと考えます。

ここでは、番付を軸にした大相撲の面白さを掘り下げてみます。

今やほとんどの競技に「ランキング」という、その世界での順位や等級を付ける優劣の表し方があります。いや、競技だけではなく、食べ物でも観光地でも職業でも品物でも、何にでもランキングを付ける世の中です。

そんな中、大相撲でのランキングが「番付」です。世界の競技の中でも大相撲の番付は、あるいは最も歴史のあるランキングかもしれません。日本では「ランキング」という言葉を使わずに、「長者番付」「筋肉番付」「酒豪番付」などなど、様々な世界での順位を「**番付」と呼ぶことがあります。