日本人は世界でも変わっている、とはよく言われますが、具体的にはどのような意味で「はずれ値」なのでしょうか。統計データ分析家の本川裕さんは、「国際比較データで日本や日本人が世界の中で非常に特異な傾向を示すものが多い」と話します。今回は、本川さんの著書『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』から一部を抜粋しお届けします。
高齢就業では世界トップ水準を維持する日本
日本の長時間労働は以前ほど目立たなくなったが、それに代わって、高齢就業の方は世界的にも日本がリードするかたちになっている。この点をデータで確かめてみよう。
図1には男性の高齢者労働力率の推移を掲げ、図2には女性の同推移を示した。

(図1)<『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』より>

(図2)注・資料:同上
<『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』より>
<『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』より>
労働力率は就業者と失業者を合計した労働力人口が総人口に占める割合のことであるが、両図は一般に高齢者と定義される65歳以上とその一歩手前の60~64歳の労働力率を示しており、合わせて高齢者の就業率を示すものと捉えておく。
男性の方から推移をたどると、第2次世界大戦後、欧米各国では、所得の向上、年金・福祉の充実により、高齢者の就業率は一貫して低下してきた。
60~64歳について欧米は60歳定年制がいち早く普及し、就業率が大きく低下した。ところが2000年前後から年金会計の改善等の理由から65歳定年制へと大きくシフトし、就業率は反転上昇し、今ではかつての水準に近づいている。
65歳以上について欧米は60~64歳よりずっと就業率が低く、引退が当たり前となっていたが、こちらの方も、60~64歳と同様の理由からゆるやかな反転上昇の傾向にある。