「自分のことが好きになれない」「自分なんてダメな人間だ」といった悩みを抱えていませんか。精神科医の泉谷閑示先生は、こうした自己否定の感情について「原因は幼少期の育ち方にある」と指摘しています。今回は、泉谷先生が心のもやもやを解消するためのヒントをまとめた著書『「自分が嫌い」という病』より一部引用、再編集してお届けします。
親に不適切に扱われた子どもの変化
子どもへの不適切な接し方は、子どもの内部に次のような変化を引き起こします。
親に不適切に扱われた子どもは、そのことをいわば神から制裁でも受けたかのように感じ取り、神である親を疑わないので、「自分が何かまずいことでもしてしまったのかな」と考えます。
もちろん、しつけなどの文脈で適切な叱責を受けた場合には、その理由が子どもにも把握できるので、今後は気をつけようという学習が行なわれるだけです。
しかし、いくら考えてみても叱られたり無視されるような理由が見当たらなかったり、何らかの失態はあったにせよそこまで制裁を受けるほどの問題とは思えなかった場合、子どもはその本意がつかめずに戸惑ってしまいます。
そして引き続き、親の意図が何だったのだろうと考え続けることになります。人には、不可解なことをそのままにしておけないという性質があるからです。