人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。
食事は手を抜きがちに
「夫が亡くなってからのひとり暮らしも慣れたけど、ごはんを食べてもおいしいって思えないのよ」
ある年配の女性が、そんなことをつぶやいていました。
「たまに、孫や子どもたちと一緒にごはんを食べるときはおいしいんだけど、みんなが帰ってまた一人になると、もう食欲も湧かなくて……」
二人そろって元気で長寿というカップルも多いでしょう。しかし、最愛の人に先立たれ、子どもたちはとっくに独立し、現在はひとり暮らしという人も少なくないはずです。
一人で暮らすようになると、ついつい「面倒だから」と手を抜きがちになるのが食事。
しかし、夏の暑い時期などに「食欲がないから」といって、料理の手を抜くどころか、食事そのものを抜くようになってしまっては、みずから要介護への道を進んでいるようなものです。