前回、聞こえづらさを抱えるユミコさんの姿を見て“老いは自分にも近づいている”と母のケイコは実感させられました。以前は「まだ大丈夫」と強がる母でしたが、その言葉の裏に隠された不安や寂しさを、娘の私は知ることになるのでした……。

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テレビの音を家族に指摘されて

前話からの続き

ユミコさんは、家族に「声が大きい」「テレビの音がうるさい」と指摘されるようになり、よく聞き取れないときには、笑ってごまかすこともあったのだそう。そしていつしか他人に会うことも億劫に感じて外出も控えていたといいます。でもその状況を変えたくて勇気を出して「あること」をしたのでした。

補聴器を試してみたら…

ユミコさんは「家族や友人と過ごす時間が大好き」と改めて気づき、これからも娘や孫と笑い合いたいと話してくれました。そして私も、「実は耳が遠くなっているのかもしれないと思うけど、なかなか認められなくて」と打ち明けたのです。そんな私の様子を見たユミコさんは、「実は私もね……」と自身がご家族に勧められて家族と一緒に耳鼻咽喉科を受診したときのことを話してくれました。

ユミコさんの耳鼻咽喉科受診時の話を聞いてみることに

ユミコさんは耳鼻咽喉科を受診した際、抱えていた不安を思い切って先生にぶつけてみたそうです。質問を投げかけるたびに先生が丁寧に答えてくれ、そのたびに心が軽くなっていったといいます。例えば……。

そもそも難聴って?

集音器と補聴器の違いって?

家族も一緒に行ってもらったら?

ユミコさんによると、耳鼻咽喉科を受診して、まず聞こえの検査をして、先生から色々お話しを聞くうちに補聴器をつけてみようと思えたとのことでした。彼女の話をきいて多少の不安は残るものの。私も耳鼻咽喉科に行ってみようと決意できました。

さらに、ユミコさんは「ご家族と一緒に受診してみたほうがいいみたいよ。わたしも予約の際にそういわれたから家族についてきてもらったの」と教えてくれました。そのほか、今の補聴器は高機能でスマホともつながるから娘や孫の方が得意でね、色々教えてもらってるのよ、と。あとはお風呂に入る前「補聴器外した?」とよく注意もされてるの、とにっこり笑いながら”あるある”を教えてくれました。けれど私は憂鬱でした。なぜなら、あの一件以来、娘のアケミとは連絡をとっていないのです。

変な見栄を張ってしまって…

その頃、娘のアケミのもとに、しばらく距離を置いていた母から突然電話がありました。

「最近ほんとうに聞こえが悪くなって…」と打ち明ける母の姿は、これまで強気で自信にあふれていた母からは想像できないほど、弱々しいものでした。

家族で補聴器相談医のいる耳鼻咽喉科を受診

母とようやく素直に言葉を交わすことができ、胸のつかえが少し取れた気がしました。

聞こえの変化を感じたら

数日後、母ケイコ、私アケミ、娘カリンの三世代で耳鼻咽喉科を受診し、紹介された認定補聴器技能者がいる補聴器専門店へ。認定補聴器技能者の方は、補聴器をつけたときの聞こえ方について確認し、より良い聞こえを目指して補聴器設定を微調整してくれました。つけていることを忘れるぐらいにつけ心地がよく、自然な聞こえを支えてくれるものでした。母が試した姿を見て「おばあちゃん、小さくて髪に隠れて見えないよ」「確かにおしゃれだね!色も素敵」と私もカリンも思わず声をかけます。

軽くておしゃれな補聴器が母ケイコの気持ちを軽くしてくれたようでした。

実際につけて過ごしてみると、最初は音が大きく感じていたようだけれど徐々に音に慣れるにつれて、母の表情が明るくなり、ホッとした様子に私たちも安心しました。母が「もっと早くつかえばよかった」と、ちょっと照れくさそうに話してくれたのが印象的でした。

実際に母のケイコも、「つけ方も簡単だし、軽くて、つけているのを忘れそう」「色も豊富で選べるのが嬉しいわ」と笑顔に。

そして何より安心なのは、まずは試せること。補聴器は装用する方の聴力や聞こえの状態によって装用効果が異なるため、“自分に合うかどうか”を気軽に試聴できるのは大きな後押しになりました。

まずは気軽に2週間、
あなたの耳で試してみませんか?

以前の補聴器は、見た目も大きくて「高齢者がつけるもの」という印象が強くあまりいいイメージがありませんでした。しかし最近の補聴器はおしゃれで使いやすくて、母にとって“聞こえる喜び”を取り戻してくれる存在でした。

どんな人でも年齢とともに体の変化は避けられません。けれど、それを前向きに受け入れるには、家族や周囲の人の支えが大切なのだと、今回私自身も学びました。そして補聴器を使うことで、母の気持ちがこんなにも軽やかに、前向きに変わるのだと驚いています。これからも家族仲良く笑い合える時間を大切にしていきたいと思います。

もしかしたら、あなたのご家族も「まだ大丈夫」と思っているうちに、少しずつ聞こえが変化しているのかもしれません。また、聞き間違いがふえたら、聴力低下のサインかもしれません。まずは、早めの一歩が大切だと思います。

母と同じように聞こえに不安を感じて悩まれている方には、補聴器相談医のいる耳鼻科咽喉科を受診して、補聴器をぜひ気軽に試してみてほしいと思います。

――ちなみに、娘カリンに声の大きさを指摘されたので、私も耳鼻咽喉科に行ってきます(笑)。

オーティコンの補聴器は、雑音を抑えながら会話を自然に届けてくれるのが特長。しかも先進のAI(DNN2.0)が環境に合わせて自動で調整してくれるので、にぎやかな場所でもより快適に会話を楽しめます。

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