越尾正子さん(写真提供=やなせスタジオ)
今田美桜さんがヒロインを務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。子どもたちの人気者・アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと、妻・暢さんの夫婦をモデルとした物語です。<柳井のぶ>を今田さん、<柳井嵩>を北村匠海さんが演じています。秘書として20年以上にわたりやなせさんを支え続けたのが、やなせスタジオ社長・越尾正子さんです。やなせさんの素顔やドラマ化への思いを伺いました。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

<越尾さんは、習っていた茶道の稽古場でやなせたかしさんの妻、暢さんと知り合った。その後、1992年から有限会社やなせスタジオで働き始める>

私は趣味でお茶のお稽古をしていました。通っていた教室で出会ったのが暢さんだったんです。

私は20代半ばで暢さんと知り合ったとき、暢さんは50代半ば。だから、私が知っている暢さんは、50代から70代まで。やなせ先生とは実際にお仕事をしたのは20年ほどです。

お2人の人生の一部分しか知りませんので、『あんぱん』では聞いたことのある話もありますし、知らなかったけれど子ども時代はそうだったのかなと想像できるようなエピソードもありました。毎日楽しみに観ています。

もともと、暢さんの生き方がドラマになったら面白いと思っていたんです。暢さんは少女から大人になる途中で戦争を経験している。戦争が終わったら、女1人で生きていかなくてはいけないと速記を習い、高知新聞に勤める。そして、「議員秘書になってほしい」と請われて東京に行く。当時の女性としては勇気ある行動だったと思います。