終活は、自分の死後を考える悲しい作業とは限りません。本心と向き合う時間が、今を生きるための支えになることも。実際に準備をしたという、3人の心情は――。
父の急死に感情が追いつかず
50歳になったばかりのユリエさん(仮名=以下同)が、《死ぬまでにやりたいことリスト》を作ろうと思ったのには理由がある。死は予期せぬ形で訪れるものと身をもって知ったからだ。
「故郷で一人暮らしをしていた父にがんが見つかったのは、3年前のことでした。まだ現役ばりばりだった父の突然の病に、私たちきょうだいはかなり動揺してしまいました」
母親を早くに亡くしていたこともあって、3人きょうだいの長女でもあるユリエさんはとくに、大きな責任を感じていた。