外出の機会も少ないし、楽しいことなんて滅多にない……そんなふうに感じている人、いませんか? でもそれは、気づけていないだけかもしれません。日常のふとした瞬間におかしみを見つけ、エッセイに綴ってきた《達人》の二人。どんなふうに周囲を観察しているのでしょう。(構成:野本由起 撮影:清水朝子)
人間は発見を喜ぶ生き物だ
小林 私と伸坊さんは俳句仲間でもあるんですが、俳句は、ふと目に入った景色を詠むもの。だから、なんてことのないものでも見逃さないよう、なんとなくアンテナを立てているところはあるかもしれないですね。
南 確かにそうですね。ボクはその前に、道を歩いていて「変だな」って思うモノを写真に撮る〈路上観察〉ってのもやってて。それもちょっと俳句に似てる。
小林 同じところを歩いても、人によって目のつけどころが違うんですよね。俳句には詠んだ人の感性や人柄が表れますけど、伸坊さんの句はユニーク。でも時々、〈二枚目〉の句を詠むんですよ。「あら、かっこいい」と思ったら伸坊さんの俳句で、びっくりしたことも。(笑)
南 アハハ。ボクは俳句らしい俳句は苦手だから。冗談言うような感覚で、自分が面白いと思ったことを句にしてるんだけど……。
小林 着眼点が面白い。今日も、二人で川を眺めていましたが、めざとく不思議なものを見つけていましたよね。
南 あー、あれ何だろうね。水位によって作動するのかな、わけわかんない円筒状のものが川の中に浮かんでた。
小林 そうやって変わったものについ目がいく。