撮影:山形屋平兵衛

嘯月
春の山

みやこの春を象徴する
薄紅色と若草色のきめ細かなきんとん菓子。
ふんわりと空気を含んだ白餡と
奥に潜む小豆餡の絶妙なコラボレーション

紫野の住宅地の中にある嘯月(しょうげつ)は、茶の湯菓子専門の人気の店。初代が虎屋で修業したことから、「月に吼える虎」の意をもつ「嘯月」の名を当時の建仁寺の管長様からもらわれたそうです。

現在の店主は三代目で、奇を衒(てら)うことない良質の生菓子で知られます。中でもきんとんには定評があり、季節ごとに変化するはんなりとした色合い、みずみずしく細やかなそぼろの口当たりなどが独特です。

餡の味をしっかりと堪能できるきんとんは、上生菓子の代表格。それだけに餡の濃さや柔らかさ、甘みの加減、そぼろの太さなどでずいぶんと味わいが変わります。この春の山は、中は小豆のつぶ餡、外のそぼろは白餡のみを用いたもの。しっかりと甘みがあるのに、ふんわりと空気を含んだ細かいそぼろ餡が口の中で溶けてゆく軽みもあり、目にも口にも福をもたらしてくれるしあわせな一品です。