写真からは、撮る人の人間性が感じられる…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは和歌山県の70代の方からのお便り。趣味の写真を撮って17年。被写体は風景や花などを撮っているそうで――。
写真で心を豊かに
私は趣味で写真を撮っている。始める時にカメラの先輩から「20年続けることを目標に」と言われた。今年で17年目になる。先輩はもう亡くなったが、あと少しで目標達成だ。喜んでもらえると思う。
被写体は風景や花などさまざま。時節に応じて変わるので、本当に難しい。この間もチューリップを撮影しようと大変な思いをして坂を上ったが、ほとんど咲いていなかった。聞くと、例年より気温が低かったため、開花が遅くなっているとのこと。もう、ガックリだ。
だが、嬉しいこともある。この春には電車と桜を写した私の作品が、評価された。少し報われた気分だ。
写真からは、撮る人の人間性が感じられる。心を豊かにすることが、良い作品を生むことにがるのではないかと思う。ある先輩の写真は、とても温かみがある。子どもの写真を撮ると、みんな目がキラキラと輝いて、希望が感じられるのだ。風景を撮ると、空を飛んでいる鳥たちが、写してほしいと言っているかのように、画角に入ってくる。素敵だ。
私は富士山が好きだ。新幹線で上京する時、富士山が見えると、とても気分が良くなる。先日、東京に向かう車内で、とても綺麗な富士山が見え、思わずシャッターを切った。青い空と富士、川にかかる橋……。これは私が一番撮りたかった構図だ。とても嬉しかった。早速、ハガキにして友人に送る。返信には、以前、静岡の清水に住んでいて、毎日富士を見ていたことが懐かしい、と書いてあった。
一枚の写真から繋がっていくものを、これからも大切にしたい。そして心豊かな人間になり、みんなの心を打つ優しい写真を撮りたいと願う。