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加齢とともに身体機能が衰えていくのは仕方のないこと。しかし、「年だから」と何もせずに放置していると要介護への道は避けられません。多くの高齢者を調査して辿りついた、最期まで自立した生活を送るために必要なことを専門家に聞きました(構成:内山靖子)

元気な高齢者は日々の活動量が多い

私が勤める愛媛大学医学部附属病院の抗加齢・予防医療センターでは、4000人以上の高齢者の身体状況を調査してきました。

そのなかでわかったのは、年を重ねても元気に自立した生活を送っている人は、血管年齢や骨年齢を測定すると実年齢よりも若い数値が出る場合が多いこと。加えて、日々の活動量が非常に多いということでした。

日本人の平均寿命(2024年)は、男性81.09歳、女性87.13歳と世界第1位の長寿国です。一方で健康寿命は短く、平均(2022年)が男性72.57歳、女性75.45歳。多くの女性が、10年以上も介護が必要な状態で過ごしているという現実があります。

最期まで自立した生活を送るために必要なのは、身体的フレイル(虚弱)を防ぐこと。なかでも、脚力の維持に欠かせない、血管、骨、筋肉を健やかに保つことが寝たきりを遠ざけるためには重要です。

言い換えれば、この3つの衰えを放置していると要介護状態を招く大きな要因になるということ。特に60代以降は、加齢による機能の低下に加え、生活習慣が個人差として出てきやすいため注意が必要です。具体的には次のような症状が表れます。