パリに対して、「洗練されたおしゃれな街」というイメージを抱いている人も多いかもしれません。しかし、毎年のようにパリでひとり旅を楽しんでいるという構成作家・松崎桃子さん(崎はたつさき)は、「わたしが知るパリは、もっと奥深くてカオスでおもしろい!」と語り、「これまでにない楽しくて新しい最高のパリの歩き方」を提案しています。そこで今回は、そんな松崎さんの著書『新しいパリでしたい100のこと~ガイドブックに載っていないパリひとり旅』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
巨大バルーンで体験する空からのパリ
パリの美しい景色を高いところから楽しむなら、エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム大聖堂の頂上、モンパルナスタワーが定番です。サクレ・クール寺院やギャラリー・ラファイエットの屋上からは、無料で街並みを一望することもできます。
けれど、そうした景色を見尽くした“ビュー好き”なあなたにこそ、ぜひ体験してもらいたいのが、15区のセーヌ川沿いにあるアンドレ・シトロエン公園の巨大バルーンです。
かつて自動車メーカー「シトロエン」の工場があった広大な敷地が、今では緑豊かな公園に。そこにあるのが、1999年から設置されている、世界最大級のテザーヘリウムバルーン(係留飛行)。高さ35メートルのその姿は、公園に着く前から目に飛び込んできます。
このバルーンは電動ウィンチで固定されていて、環境に優しい設計。2008年からは、パリの大気汚染の指標として、“空飛ぶモニター”の役割も果たしているのです。
予約不要で、0歳から99歳まで誰でも乗れるのですが、ひとつだけ気をつけたいのが、天候とタイミング。風が強い日は中止になることが多く、ホームページで「IMPOSSIBLE(不可能)」の文字を見る日が続いたあと、ようやく飛べる日がやってきました。