ハーバード・ビジネススクールが行った調査によると、就職・転職の7割は「視野狭窄」が原因で失敗するのだそうです。サイエンスジャーナリストの鈴木祐さんは、「『好きなことを仕事にしよう』『給料の高い仕事を選ぼう』といった一般的なアドバイスは、実は科学的根拠に乏しく、むしろ不幸につながる可能性がある」と語り、研究データに基づいた科学的な適職選びを勧めています。そこで今回は、鈴木さんの著書『新版 科学的な適職』から一部を抜粋し、再編集してお届けします。
経営の効率化が従業員の幸福に寄与するとは限らない
「従業員には特定の役割だけを与え、その業務を徹底させよ」
旧来の経営理論はこのように主張します。経理には金の計算だけを割り当て、企画部門には良いアイデアを出す作業のみに専念させる、そんな手法です。
確かに特定の役割を徹底させれば社員のスキルは上がり、コストや効率面でも最大化しやすくなるでしょう。非常にわかりやすい考え方です。
しかし、経営の効率が最大化したからといって、それが従業員の幸福に寄与するとは限らないのは当たり前の話。いかにアイデアを出すのが好きな人でも、そればかりを求められれば息が詰まり、たまには単純な事務作業やプロセス管理をやってみたくなるはずです。