noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第17回は「とある事件の報道を見て思う…報われない想いと、幸福な立場への嫉妬地獄」です
嫉妬の恐るべき破壊衝動を思い知る
最近とある事件の報道を見て、嫉妬の恐るべき破壊衝動を改めて思い知らされている。報われない想いと、幸福な立場への嫉妬が、残酷な犯罪行為へと駆り立ててしまったのだろうか。
愛情が執着になり、嫉妬の感情が妄想を産んでエスカレートし「自分の思い通りにならないのなら壊してしまいたい」と思った経験が私にもある。
長男が3歳、次男がお腹にいる時のこと。毎日深夜に帰ってくる夫に不満を抱いていたものの、私たちのために働いてくれているんだ、とつわりでヘロヘロになりながらもワンオペで頑張っていた。長男が寝たあと家事を片付けてから録画しておいたドラマを観るのが一日の楽しみだった。
ある日の深夜、私が諸々を片付けてドラマを見始めた頃、夫が帰宅してこう言い出した。
「あのさ。実は会社にメンタルやられてしんどそうな後輩がいてさ。金曜の夜、仕事が終わったらちょっと話を聞きがてら飲みにいってくるから、ご飯いらない」
メンタルやられてる後輩? ……誰?
