101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社) から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。
<付き合い上手は老い方上手>
ほどよい距離感で、居心地のよい関係
年齢を重ねると人との接点がなくなり、ひとりで家にこもりがちになる人が多いという話を聞きますから、近くに親類や親しい友達がいる私は、幸せだと思います。それらの人たちと居心地のよい距離感を保ちながらお付き合いできているということは、本当に恵まれていると思います。
若いころから、私はお互いの生活のすべてを知っていないと気が済まないといったようなべったりとしたお付き合いが苦手でした。理想は、お互いが自立しており、必要以上に相手の私生活に入り込まないという関係です。
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居心地のよい距離感を保つために、私は人から相談を受けてもできないことはハッキリと言いますし、進んで人の世話を焼くということはしません。
このような態度を冷たいと感じる人もいるでしょうが、残念ながらそのようなお付き合いを好む方と私は、長いお付き合いはできないのです。ある一定の距離感を保った少々淡白なくらいの関係のほうが、気持ちがよい関係を長く続けられると、私は思っています。

