内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、令和6年の労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.6%と、長期的に上昇傾向にあるそうです。この状況のなか、ジャーナリストの若月澪子さんは「年金だけでは暮らせず、働き続けざるを得ない高齢者が増えている」と語ります。そこで今回は、若月さんがさまざまなシニア高齢者へのインタビュー取材をまとめた『ルポ 過労シニア 「高齢労働者」はなぜ激増したのか』より一部引用・再編集してお届けします。
シニアが働き続ける動機
今の日本の労働現場におけるシニア労働者の立ち位置は、女性や外国人労働者と同等、あるいはそれ以下の極めて低い地位にある。
シニアには仕事の選択肢が少なく、賃金は低く、そして健康不安を抱えながら働く人も多い。それでも彼らが働くのはなぜなのか。
筆者は取材を始めた当初、シニアが働き続ける動機には「低年金」が大きく関わっていると考えていた。
ところが衝撃を受けたのは、60歳を過ぎても「子育てが終わらない」という現状を抱え、働き続けなければならないシニアが急増していた点である。