自己表現の場を労働に求める

シニアが働き続けるのには、もう一つ大きな理由がある。それは働かなければ「社会から孤立してしまう」という問題だ。

生涯独身、あるいは子どもや孫世代と同居しないシニアが増え、高齢者の単身世帯、夫婦二人世帯が増加している。これもシニアの労働参加を後押ししていると考えられる。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

地元の小学校で、パートでパソコンを教えているという、ある60代女性がこう語っていた。

「自分のイメージしていた老後は、子どもや孫に囲まれ賑やかに暮らしているはずだった。でも私は夫と離婚し、子どもは独立して家を出た。私は一人ぼっちで、今は働かないと誰かと話す機会もありません」

年金を受給し、貯金はほぼないに等しいというこの女性が働くのは、経済的な理由に加え、社会からの孤立を防ぐためでもあった。