(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、令和6年の労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.6%と、長期的に上昇傾向にあるそうです。この状況のなか、ジャーナリストの若月澪子さんは「年金だけでは暮らせず、働き続けざるを得ない高齢者が増えている」と語ります。そこで今回は、若月さんがさまざまなシニア高齢者へのインタビュー取材をまとめた『ルポ 過労シニア 「高齢労働者」はなぜ激増したのか』より一部引用・再編集してお届けします。

シルバー人材に所属するのは「ゆとりある人」

経済的に余裕がありそうな人でも、何かしらの仕事に取り組むシニアは多い。

シルバー人材センターは、ほとんどの市区町村に設置されている公益法人。同団体の前身が発足したのが1975年(昭和50年)である。高齢化に伴って、定年後も働きたいというシニア世代のニーズに応えて成立した。

原則60歳以上の人が登録できて、主に草引きや清掃、学校の用務員、駐輪場の受付員など、公的機関や個人、企業などから発注された仕事を紹介してもらえる。

Jさんがシルバー人材センターに登録したのは、半年ほど前のこと。65歳になったのを境に、勤めている社団法人の仕事が週3日になり、手持無沙汰な日を埋めるためにはじめた。一番の目的はお金ではない。

「健康維持のためですよ。長生きしたくはないけれど、健康でいたいじゃないですか」