仕事で訪れたモロッコで、日本人女性と大恋愛末結婚・離婚したという通訳の男性と知り合ったマリさん。思い出の中で生きていくしかないと語る男性に、「まだ若いし出会いはある」と慰めたところ――。(文・写真=ヤマザキマリ)
モロッコでの出会い
先日、仕事で訪れたモロッコで知り合った通訳の男性は、以前4年ほど日本の大学に留学していたことがあり、その時に知り合った日本人女性と大恋愛の末結婚したのだという。携帯の画面越しにウェディングドレスと和式の打ち掛け姿で微笑む新婦を私に見せながら、「素敵な女性でしょう?」と微笑みが止まらない。
ところがそれからわずか1年後、男性の親が病気になり、モロッコへ戻らねばならなくなったのを理由にその女性とは離婚してしまったのだという。
当初は妻も一緒にモロッコで暮らす予定で仕事も辞め、飛行機のチケットまで取っていたのに、出発間際に彼女の両親から、老齢の自分たちをおいて日本から出て行かないでほしい、相手と別れてほしいと泣きつかれたのだそうだ。
「あんなに素晴らしい女性にはもう出会えません」、と男性は深いため息をついた。
とはいえ男性にしてみれば、両親と縁を切ってまで、妻に自分の国に来てほしいとはとても強制できなかったという。

