101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<自分で枠を作らない>

例えば、お互いの呼び方も自由に

私と姑は、お互いの呼び方についても周囲の人を驚かせていたようです。

我が家に姑の学習院時代の同級生をお招きして、同窓会を開いたことがありました。料理などの用意をして、あれこれとお世話をしている私に、姑が「吉沢さん」と声をかけているのを耳にした友人のひとりが、姑を部屋の端に呼んで注意をしたのだそうです。

「お手伝いさんじゃないのだから、お嫁さんに《吉沢さん》はないでしょう。ちゃんと、久子さんとお呼びしないと失礼よ」

 

(写真:stock.adobe.com)

 

結婚前に夫の秘書として姑と出会っていたことから、姑は、私たちの結婚後も私のことを旧姓の吉沢さんと呼んでいましたし、一方私は、姑のことをお義母さんではなく、おばあちゃまと呼んでいました。

私たちはそのことに違和感を抱いたことがなかったのですが、ひとつ屋根の下に住む家族を旧姓で呼ぶというのは、他人から見ると奇妙に映るのも仕方のないことだったのかもしれません。

その後、お互いの呼び方が変わったかというと、お察しの通り、最後まで変わることはありませんでした。

「これまで通りがいちばんシックリくる」というのが、姑と私の結論です。

 

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